横浜地方裁判所 昭和39年(ワ)932号 判決
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〔判決理由〕ところで、原告は本訴において被告に対し右所有権移転登記手続のほか、前記土地一二〇坪を別紙図面表示の(イ)、(ロ)の各部分に分筆登記手続をなすべき旨を求めるが、およそ、分筆登記は、性質上物権変動につき第三者に対抗する効力を生じさせる通常の登記とは異り、これらの本来的意味における登記を可能ならしめるため、登記簿表示欄の記載を変更する純手続的なものにすぎない。従つて、本来の登記が登記権利者と登記義務者との協同申請に基いてなされる(不動産登記法第二六条)のに反し、分筆登記は権利関係の変動に直接関係がないから、所有権の登記名義人の単独申請に基いてなされ(同法第八一条の二)、そこには登記権利者登記義務者の観念を容れる余地はない。よつて、かかる分筆登記に関する私法上、実体法上の登記請求権はないのであるから、不動産登記法第二七条の判決による登記を許されないのであり、仮りに判決主文で分筆登記手続を命じても、その判決によつて直ちに分筆登記をすることはできないわけである。他方、一筆の土地の一部といえども、その部分が具体的に特定している限り、分筆登記未了前にその所有権を取得することができることは明らかであり、従つてかかる一筆のうちの一部の土地について買主が売主に所有権移転登記手続を求め得ることも当然のことといわなければならない。そして、前判示のように、具体的に特定された前記土地一二〇坪のうちの別紙図面表示(ロ)の部分につきその登記名義人に所有権移転登記を求める旨の判決があるときは、同法第四六条の二に基く代位により同法および土地台帳法の規定に則つて分筆登記をすることができるのである。このように、一筆の土地の一部の譲受人は、判決で「……を分筆の上」と命ぜられなくても、所有権移転登記手続を命ずる判決があれば、この判決によつて分筆手続も支障なく行われるのであるから、逆にいえば判決で「……分筆の上」とつけ加えることは無意味な事柄でもあるのである。以上の次第であるから、原告が本訴において被告に代位して分筆登記手続を求める部分の請求は失当として棄却することとする。(深田源次)